見つめ合ったまま、どちらからともなく、ゆっくりと唇が重なる。
冷たい唇が櫻井さんの熱で、どんどん温かくなる。
優しくゆっくり重ねられる唇から、優しさを感じる。
優しく髪を撫でる大きな手から、愛を感じる。
言葉なんていらない。
この一瞬で、心に彼の気持ちが入り込んでくる。
愛してる。
そう言ってくれている。
嬉しくて、幸せで、思わず涙が溢れた。
涙を流す私に気づいて、ゆっくりと唇が離れた。
そのまま私の顔を優しく覗き込んでくる櫻井さんの瞳が夜空の星を映したように輝いている。
そして、泣いている私の顔を見て、優しく瞳を細めて微笑んだ。
「どした?」
「いえ...…キスってこんなに気持ちいいんですね」
ポツリと言った私の言葉を聞いて、キョトンとする彼。
瞬きを繰り返して、口を噤んだ。
その姿を見て、首を傾げる。
「――あの?」
「――…松本って、たまにビックリする様な事言うよな」
恥ずかしそうに笑った彼は、そう言って私をもう一度強く抱きしめた。
そして、閉じ込められた腕の中で小さく囁いた。