「でも、松本に見せたいって思った。喜ぶ顔が見たいって」


その言葉に、胸が締め付けられる。

ゆっくりと視線を下ろした櫻井さんが、そんな私を見て目を細めた。

その姿に向かって、口を開く。


「私も..…最近思える様になりました」

「ん?」

「櫻井さんと一緒に見たいなって、思うもの増えました」


綺麗なモノ、初めて見たもの。

それらを見る度に、彼だったらどんな顔をするだろうと思うようになった。

見せてあげたい。

聞かせてあげたい。

そう思うようになった。


私の言葉を聞いて、ふっと表情を緩めた櫻井さん。

そして、私を抱きしめる腕の力を更に強くした。


「俺達って似た者同士だよな」

「ふふ。そうかも」


恋愛を恐れて。

変わってしまう事を恐れて。

幸せになる事を恐れて。

殻に閉じこもってしまった。


真っ暗な世界に生きていた私達。

それが幸せだと信じていた。