「着いた」


それから暫く車を走らせた後、徐にそう言ってエンジンを切った櫻井さん。

うーんと大きく背伸びして、車の外に出て行った。


「ここって...…?」


同じように車を降りると、目の前には木で出来たロッジの様な家が建っていた。

周りは一面草原で何もない。

あまりに何もなさすぎて、一見牧場のようにも見える。

それくらい、広い土地にポツンとこの家だけが建っている。


不思議に思いながら、辺りを見渡す。

それでも、やはり何もなくて、どこまでも緑が広がっていた。

不思議な場所。


そんな事を思いながら、車にもたれ掛かって煙草を吸い始めた櫻井さん。

そして、ニヤリと笑って驚く事を口にした。


「別荘」

「え?」

「だから、別荘」


瞬きを繰り返す私を見て、サラッとそんな事を言った櫻井さん。

その言葉を聞いて更に訳が分からなくなって、目が点になる。

そんな私を放置して、言葉を続ける彼。


「櫻井家の別荘」


そして、サラッと驚く事を口にした。