「――櫻井さん」


暖かい腕の中から抜け出して、彼の名前を呼ぶ。

俯いたままの私を見て、櫻井さんは僅かに首を傾げた。


「すいませんでした……」

「何が?」

「何がって、櫻井さんをこんな事に巻き込んでしまってっ。それに――」


ゆっくりと顔を上げて、その痛々しいガーゼの張られた顔を見つめる。

今は服で見えないけど、彼の腕にも大きな傷があるはず。

あれだけ血が出ていたんだ、きっと痕が残る。


その事が、申し訳なくて唇を噛み締める。

自分が情けなくて、涙が出る。


「どうやって、お詫びすればいいか――っ」


俯いて、ギュッと服を掴んだ。

その反動で、ぽたっと手の甲に涙が落ちる。

すると。