温かい唇が胸にポッカリ開いていた穴を埋めてくれる。

月が真円を描くように、ゆっくりと。


何度も角度を変えて、絡む2つの舌。

まるで、互いを確認し合うように、何度も何度も。


部屋には、水気を帯びた音が響く。

息をしようと離れると、頭を後ろからグイッと引かれて、更に深いキスが私を襲った。


貪る様にキスをする。

お互いの気持ちを確認し合うように、何度も。


溶けて一つになるのではと思う程、何度も唇を重ねる。

そんな永遠にも思えたキスが、ゆっくりと終わる。

ふと閉じていた瞼を開けると、そのままギュッと抱きしめられた。

そこに愛を感じて、胸がいっぱいになる。


この前とは違う。

彼の気持ちを感じる、温かいキス。

真っ直ぐに感じるその気持ちに、胸の奥が締めつけらた。


「こんな事で自分の気持ちに気付くとはな」


私を抱きしめたまま、自嘲気にそう言った櫻井さんの言葉に耳を傾ける。

だけど、その言葉でハッとした。


そうだ。

私のせいで、櫻井さんはこんな目にあったんだ。