涙を流して蹲る私を見て、2人は優しく微笑んだ。

そして、しばらくしてから傷の具合の説明や、今後の事について話された。


「君も、もう大丈夫だ。ただ今日は入院していきなさい。念の為にね」

「――はい……ありがとうございます」

「あと、後から警察の人が事情を聞きにくるみたいだから」

「分かりました……」

「何かあれば、呼んでください」

「ありがとうございます。――あっ! あの……櫻井さんは今どこに?」


部屋から出て行きそうになった先生を慌てて呼び止める。

すると、振り返った先生は優しく微笑んで口を開いた。


「507号室ですよ。もう少しで目も覚めるでしょう。お大事に」


最後にそう言い残して、先生は病室を後にした。

パタンと閉まった扉を見つめながら、先程の言葉を鳴らす。


――507号室。


その言葉を口で呟いた瞬間、慌ててベットから降りようと布団をめくりあげる。

すると、側にいた看護婦さんが咎めるように、松本さん。と名前を呼んだ。