私の言葉に、ニッコリ笑って、正解。と言った純さん。

その瞳を細めて、テーブルの上で両手を組んだ。


「どんなに仕事で成果を上げても、友達とバカ騒ぎしても、心の奥までは満たされない」

「――」

「瑠香ちゃんなら分かるでしょ?」


そう言う彼は、私の事をどこまで見抜いているんだろう。

まるで、私の人生を隣で見ていたかの様な口ぶりに疑問が湧く。


それでも、彼の言っている事は当たっている。

実際、私も彼の言うように、同じだったから。


必死で仕事をして成果を上げても。

友達と朝まで飲み明かしても。

心は空っぽのままだった。

寂しいと心が叫んでいた。


「駆の事受け止めてやって。きっとアイツも心の底でそう望んでる」

「――」

「過去の自分を許せなくて、アイツは前に進めていない。本当は誰か側にいてほしいと思ってるクセに、誰かを傷つけるのが怖くて、自分からそれを遠ざけている」

「恋愛は人を変える……」

「俺は瑠香ちゃんと駆、似てると思うんだよね。だから、アイツの事、一番分かってあげられるんじゃない?」


櫻井さんを、受け止める?

できるモノなら私もそうしたい。

でも――。


「私じゃダメなんです」


ふっと自嘲気に笑って、視線を下げる。

そんな私を純さんは首を傾げて見つめた。