「傷つくのが怖くて臆病になっていたら、何も始まらないよ」
恋と風邪は同じだ。
年を重ねる事に、ダメージが大きくなる。
そして、治りも遅い。
傷の深さも、失う怖さも、昔とはケタ違い。
「瑠香は寂しがり屋のくせに、意地っ張りだからね~」
「うるさいなぁ」
「全部裏腹に出るんだよね」
「裏腹?」
「誰よりも優しい癖に冷たく見えて、強そうに見えて弱いの」
「――」
「そういうの、分かってくれる人と一緒になってほしいな」
そう言った美咲の言葉に、少しだけ目頭が熱くなる。
やっぱり、私の事誰よりも理解しているのは美咲だと思って。
「ありがと……」
「ゆっくり考えなよ」
「――…うん」
「逃げるのと、立ち止まる事は違うからね」
美咲の言葉を胸の中で鳴らす。
その通りだと思うのに、足踏みしてしまう。
自分の気持ちが分からない。
一体私は、どうしたいんだろう――。