――向かった先は、マンション近くの居酒屋。

明日はお互い休みだし、飲もうという事になった。


お決まりのように櫻井さんの車に乗せてもらい、一度マンションに車を置いて歩いて居酒屋まで向かう。

それでも、着くや否や、店の中はクリスマス + 金曜日という事で人だらけだった。

煩い程の活気に満ちた店内の熱気に押されて、思わず目を閉じた。


「ただ今、1時間待ちです」


店内で騒ぐ人達の声に負けない様に大きな声を出す店員さん。

無理矢理感溢れるサンタの帽子が違和感満載だった。

その姿を横目に、どうします。という思いを込めて隣を見ると。


「行くぞ」


そう言って、櫻井さんは踵を返して店を出た。

まぁ、櫻井さんの性格からして、ああいう煩い店は好きじゃないだろうな。

もちろん、私も好きではない。