あの社員旅行が終わって何週間かが経った。

落ち込んでいるかと思った日向だけど、いつも通り明るかった。

まるで、何事も無かったかのような素振りだった。


告白した事は誰にも言っていないみたい。

だから、私もあれは見なかった事にした。


ただ、内心ホッとしている自分が凄く嫌な人間に思えた。

断られて、ホッとしている自分が間違いなくそこにいた。


だから、いつも通り接してくれてる日向に申し訳なかった。

変わらず、笑顔を振りまいている日向を見て、申し訳なく思った。

日向は強いな、と思った。

それと同時に、心底自分に嫌気がさした。


そして、胸の奥に残っている、あの言葉。

あの日、櫻井さんが言った、あの言葉。

『やめたんだ』と言った、あの言葉が胸にシコリとして残っている。


臆病な私はその言葉の意味を聞く事もできない。

だけど、彼の言った言葉が言葉通りなら、そう言う事。

私と同じで、恋愛を止めた、という事。


もし、それが本当なら私はどうすればいいのだろうか。

何をやっても八方塞がりな気がして、悲しくなる。


そして、私はまた逃げた。

傷つくのが怖くて、逃げたんだ。

自分の心に蓋をして、そして何も無かったかのように時間だけが過ぎていった。