「櫻井さんは、彼女とかいないんですか?」

「いない」


キッパリそう言われ、逆に清々しく感じた。

確か、28才だったはず。


といっても、彼の場合28なんかに見えない。

童顔ってわけじゃないけど、とにかく若く見える。

損なのか得なのか、分からないけど。


というか、人の事をとやかく言える立場じゃないけど、そろそろ……じゃない?

まぁ、男と女は違うんだろうけど、今から誰かと付き合って結婚、となるなら、逆算してそろそろ作りだしてもいい年頃じゃない?


「作らないんですか? 彼女」

「どうだろうな」


そう言って、不敵に笑いながら吸っていた煙草をふーっと吐き出す彼。

全く、この話には興味はなさそうだ。

というか、真剣に答えるつもりもなさそうだ。