――…それからあっという間に週末が過ぎた。
結局あの後、美咲の家に泊まって朝まで恋愛相談にのった。
私は駆に去り際に言われた。
『自分を大切にしろよ』
という捨て台詞が頭の中でグルグル回っていて、モヤモヤしたものが胸の中を覆っていた。
自分を大事にしろ?
大事にしてるわよ。
高校生なんかじゃあるまいし。
キスの1つくらい、どってことない。
好きでもない人と寝れるくらいなんだから。
大人は。
言い返せなかった事に、徐々にムカムカしてくる。
何か一つでも言い返してやれば良かった。
そう思うものの、二度と会う事のない人間に腹を立てても仕方ないと思い直す。
もちろん、純に連絡するつもりもないのだから、あの男とは金輪際会う事はない。
そう思っていた。