「それが、私が恋愛しない理由です」


そして、私のこれからの人生。

仕事と生きていく。

そう決めた。


真っ直ぐに前を向いて、勢いよく立ち上がる。

目の前に見える世界は、どこまでも綺麗なのに胸が痛んだ。


「お前は、それで幸せなの?」


そんな私を見て、櫻井さんがポツリと呟いた。

そして、立ち上がった私をじっと見つめた。


幸せ?

そんな言葉、もういらない。

手に入れた瞬間、朽ちるものだから。


「幸せってなんですか?」

「――」

「ならなきゃいけないんですか?」


もし、みんなの言う幸せが誰かと結婚して、幸せな家庭を持つ。という事なら。

私はそんな幸せなんていらない。

なりたくもない。