「今日、何か予定あるのか?」
コーヒーも飲み終えて、ボーっと窓の外を見ていたら、不意に声を掛けられた。
ゆっくりと視線を隣に向けると、まだコーヒーを飲んでいた櫻井さんがマグカップに口をつけたまま私に視線を向けていた。
「――いえ、特に」
こんな晴れてる日はどこかに出掛けたいけど、そんな気にもなれない。
でも、1人でいると昨日の事をまた考えてしまう。
だったら、近所の喫茶店かファミレスにでも一日中滞在していようか。
どうするべきだろうかと、考えあぐねていると。
「今日の夕方から、受け持ちの病院の創立記念式典に呼ばれてるんだ。松本も来るか? ――気分転換に」
口元だけ微かに笑って、そう言った櫻井さんの言葉に目を瞬く。
そんなお誘いされるとは思ってもみなかったから。
記念式典。
各取引先や、病院の幹部達も出席する大きなパーティー。
平社員の私は呼ばれたことなんて、もちろんない。