「えぇと…?」


本当、私ってダメな女だ。

こんな時にも返事が出せない。

相手が望んでいることをしてやれない。




「これ、強制だから」


迷っている私に気がついたのか。

彼は私の腕を掴んだ手を強く引っ張る。


「キャ…」


「俺とのデートは強制。それじゃあ行こうか」



私の腕を掴んだまま、彼は教室を出る。








さっき私が落とした文庫本が、

冬の風に吹かれてパラパラとページをめくった。