辻本君が、おじさんに渡されたコロッケを受け取る。



その際におじさんは彼にこそっと耳打ちした。




「上手くやるんだぞ、兄ちゃん」







でも生憎私は聞こえていた。




こんな風に聞きたかったのは、


おじさんの声じゃなくて、



辻本君の声だったんだけど。





でも、そんなこと言えない。







「美晴さん、一つどうぞ」


「ありがと」





彼はあの笑顔で私にコロッケを渡す。








変だ、私。




彼のあの笑顔を見ると、

思わず胸がキュンと締め付けられるような感じがする。




これは、一体何?