「は、初めて笑ってくれたな!」



彼はそう言って前を向いてしまう。




そんな彼の顔は真っ赤なトマトのように熟していた。

もちろん、耳まで真っ赤だ。




笑ってくれた。



彼はそう言った。



笑った。




自分が。






最後に笑ってから、

どれぐらいの時期が流れたのか忘れた。



でも彼は言う。




笑ってくれた。





それだけで彼は満足してくれている。




そして私も満ち足りる。





「うん」




何だか私も恥ずかしいよ。




これが恋ってやつなのかな?