視界が、歪む。
大粒の涙がぽたぽたとスカートに滲んだ。
どうしてこんなに苦しいのだろう。
『”なんとなく”や”きっと”で始まったとしても、終わるときにはそうは済まされない』
芽生えた気持ちはいつの間にか大きく育ってしまった。
それはとても醜く、自制の効かない”こころ”。
時に穏やかで暖かく、時に沸々と燃え上がる厄介で面倒なものだ。
それでも、いとおしいと思ってしまうのだ。
「行かなきゃ、」
七菜子は教室を飛び出した。
しわしわになったプリーツも、
泣きべそをかいてひどくなった顔も、
廊下を走るなという先生の忠告も、
なりふり構っていられないほどの思いが、
七菜子をただ真っ直ぐに走らせた。