国枝と話を終えて図書館を出たときに司書さんに会った。

「あら?あなた彼女のお友達?」

「はぁ…」

「彼女偉いわよね。毎日必ず5時までここで勉強していくの。」

「5時までなんすか、ここ。」

彼女はふふっと笑いながら首を振った。

「毎日妹さんの帰りを向かえに行くんですって。彼女がここへくるようになってから毎日よ。」


司書さんが図書館に入るのを見ながら思ったのは
国枝も余裕なんかじゃないのかもしれないってこと。
あいつだって毎日努力してんだ。

だからこそ余計に国枝の視界に入ってない自分が悔しかった。
あいつが見てるのは常に前と目標だけだ。

あいつの中に俺はいない。

「ほんとにむかつくやつ。」

俺はそれだけ呟いて家に帰った。
塾も全部やめた。
自力であいつに認められたかった。