それで、新しい高校に転校したのはいいんだけど、やけに人数が多いし、人見知りな私には新しい環境ほど辛いものはない。



毎日毎日学校から逃げるように、このお店に駆け込んでるようなもの。早く友達作って慣れたいんだけど、なかなか声なんてかけれない。そんなことを考えていると、思わずため息が溢れた。



「はぁ‥‥」



「人間関係上手くいってないんだろ」



「うっさいな~。」



普段は冷たいくせによく見ているのか私のことを見透かしたように言う。



(ほっといてよ、もう。
‥‥‥ホント、なんで私、人見知りなんだよ、呪いたい。)



飲みかけたグラスを暁に押し付けるように、カウンターに置いた。酔っ払ったような感覚になって、頭がほわほわとした気分になる。正しく言えばにおいで。



「ふぇーんだ!なんとぉでも言え!」



「‥‥‥‥あ?お前、酔ってんのか?」



暁は驚いたように、私とグラスを交互に眺めている。そんな暁の様子に私はヘラヘラと笑った。



「今の演技。冗談冗談」



「‥‥‥お前、今本気で焦ったじゃねぇか‥‥」



ドスの利いた低い声にまた私はわざとらしく笑った。さっきの仕返しだから。



だからもう少しここにいさせて欲しい。
我が儘なのはわかってるけど。