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チャラン。



小さな鈴の音が、心地よい音程で鳴った。
いつも私が学校の帰りに通っているお店の中へと入る。お店に入った瞬間、お酒のアルコールのにおいがした。



お店の雰囲気は穏やかで、リラックスできる空間だった。風車のようなライトに薄暗い明かりが灯されていて80年代のゆったりとした洋楽が流れている。視線の先にはたくさんのお酒の入ったボトルが見えた。



(……いつ来ても大人な雰囲気だなぁ)



お店を見渡す限り今日はいつもよりお客がすいているようで、カウンター越しで暇そうにしている人物が視線に入る。



「今日、暇なんだ?」



「‥‥‥その声は杏里か。また来たのか?未成年は立ち入り禁止だって言ってんだろ?」



呆れたように顔をあげて私を見てくるこの人はこのお店の店主で私のいとこの高城暁(タカギアキラ)だ。年齢は28歳、独身。 



そろそろ彼女作って結婚でもすればいいのにと、杏里は思っていた。本人から余計なお世話だ。とか言われたけど。


だけど、暁は顔がいいから女子からモテモテだった。のくせに女子にはあまり興味ないみたいで、絶対勿体ないよね?



言ったら調子乗りそうだから言わないけど。



「なんだその不満そうな顔は?」



しまった。思っていたことが顔に出てしまっていたらしい。でも、そんなのは気にしない。



「別に?それはそうと、毎日聞き飽きたんだけど、その台詞」



「言わせんな、バカ。俺も言い飽きたわ」