繁華街とかって、初めてで。
恐い。
ケバいお水のお姉さんと、髪の毛をがっちり固めたお兄さんたちが色んなお店へ勧誘してる。
恐い。
本当に、こんなところにいるのかな?
そのとき、
「おねーさん?」
ビクッ
「おねぇーさんっ!」
「は、はい。」
蚊の鳴くような声で返した。
「こんなところでなにしてんのー?」
酔っ払った若い男のひとが五人くらいいて、わたしを囲んでいた。
「あのー、すみません。急いでるので。」
「まーまー、そんなこと言わずにさー!」
がっつり手をつかまれた。
「嫌だっていってるでしょっ?」
バンッ
持っていた鞄で男のひとを殴り付けた。
「いってーな!」
「来い!ごらっ!」
さっきよりも強い力で腕を引っ張られて、奥に入った道へと連れていかれる、
「いやっ!いやぁっ!やだ!やめって!」
必死に抵抗しても、男の人に力でかなうわけもなく、あっさりと連れて来られた。
「おいてめー、おとなしくしてねーと痛い目にあうぞ。」
そう言って、たくさんいる男の人のなかの一人が私を壁に押さえつけ、手を固定した。
もう逃げられない。
「ごめんなさい、はなして!」
私は謝ることしかできない。
そのうち、もう一人の男の人がビデオらしきものを出し、まわしはじめた。
こわい。こわい。
「たす、け て 」
こわくて、かすれた声しか出なかった。
上着をぬがされ、キャミソールに手をかけられたとき、最後だとおもい、一気に息を吸って、
「たすけてぇぇぇぇっ!」
と叫んだ。
しかし、入り組んだ道の奥。
そう簡単に助けはこない。
「おい!うっせーよ!」
そう言われ、顔を殴られた。
「おい、こいつの口にテープでもはっとけ。」
そういって、口にガムテープをはられた。
下着もとられ、上半身は裸になって胸をさわられていた。
気持ち悪い。
もう、終わりだ。
初めてなのに、こんなことで終わってしまうなんて。
もう、やだ。
助けて、助けて!
そして、ついにスカートに手をかけられた瞬間
ガッシャーン
突然、そんな音がした。
目をつぶっていた私は、急いで目を開けた。
そこには、ビデオをとっていた男を殴った、
緒形、蓮がいた……
助けに来てくれた!
「おいてめー、なにしてくれてんだよ。」
「俺たち今お楽しみの最中なのわかんねーの?」
「俺らは死神の手下だぞ。」
「俺らに手ーだしたら、あの人が黙ってねーぞ?」
「………死神ねぇ」
「あ?てかお前だれだよ」
「俺の名は……紅嵐だ。」
「く、紅嵐だと?」
「紅嵐ってあああの紅龍の総長のか? 」
「そういえば、赤い髪に、赤い目?」
その瞬間、ずっと下を向いていた緒形蓮が男の方を向いた。
赤い目がギラリとひかる。
「ほ、本物だぁぁぁぁぁぁ!」
「に、逃げろー!殺されるー!」
そういって、男たちは逃げていった。
その瞬間、私は力が抜けて、その場にた倒れこんだ。
「陽菜!」
その瞬間、あいつが駆け寄ってきた。
「おい!大丈夫か? 」
そう言われて、上着をかけられたが、それを無視するようにわたしは緒形蓮に抱きついた。
「こわかったよぉぉ」
そう言って私は大泣きした。
「もう大丈夫だ。」
そう言って、緒形蓮は私の頭を撫でた。
私はコクンと頷くことしかできなかった。
「おい、お前自分の状況わかってんのか?」
「??」
「さすがにこの状況で手を出すような節操なしじゃなくてもよ、俺も男なわけで…」
そうブツブツなにか言っていたが、よくわからなかった。
「とにかく限界なんだよ。」
「な、なにが? 」
よく意味のわからないことを言い出したヤツにそう言えば、
ハァーとため息をつかれた。
「お前、自分の格好見てみろよ」
そして、気づいた。
「きゃあぁぁぁぁっ!」
自分が上半身裸だということに。
「やだっ!見ないで!」
そういって急いで離れて手で前を隠した私に、ヤツはさっき私が落とした自分の上着をかけた。
「ありがとう。」
「まぁ、色々聞きたいことはあるけど、ここじゃあな。今から俺んちくるか?」
こんな格好で家にも帰れないので、行くことにした。
コクン