「俺は緒形蓮だ。ちなみに、ここ紅龍の総長だ。」


え、総長?

てゆうことは、この人は自意識過剰なんじゃなくて、知らない私が可笑しかったってことか。


「そうですか、では失礼します。」


「おい、待てよ。」


「あなたが総長であろうと、私には関係ありませんので、あなたの言うことを聞く必要はありません。では。」


「おい、待てよ!待てって。」


「出してください。」


私は、道路に出て通りかかったタクシーに乗り込んだ。


後ろで、さっきの人が何かを叫んでいる気がしたが、気づかないふりをしていた。







蓮side





「なんなんだ、あいつは。」






俺を見ても怯えも媚びもしない。




そんな女は初めてだ。





俺は今まで女なんて皆同じだと思っていた。




だが、あいつは違うみたいだ………




もう一度会いたい。




こんなに女に興味を持ったのは初めてだ。












陽菜side






「なんなのよ、あいつ。」






あーゆうやつは一番きらいなのよ。






けど、あいつのあの低い声と赤い目が忘れられないのはなぜ?










次の日。





ガラガラ



私は、眠れなくて珍しく早く学校に行った。





「ちょっと、陽菜ー!」





「げ。」






そういえば、夏に何も言わずに帰っちゃったんだった。





「あのあと、緒形さんとどこいったのー?」


「てか、よく無事だったね!
心配したんだからー!」






「全然平気よ。」





「ちょっとムカついたくらいよ。」






「もー!
あのあと、大変だったんだからー!」





「ごめんごめん」





「ま、無事でよかったよ。」





「うん。もう一生関わることないと思うし。」




言ってて、悲しくなったのは、きっと気のせい。だよね?





その日の夜、私はなるべく目立つ格好をして、繁華街に行った。





私は、なぜかあの赤い目が忘れられなくて、考えるだけで胸が苦しくて。





眠れなくなっって、繁華街とかで喧嘩してるイメージだから。







会いたい。







なんでかわからないけど、すごくムカつくのに。




…………会いたい。














繁華街とかって、初めてで。



恐い。



ケバいお水のお姉さんと、髪の毛をがっちり固めたお兄さんたちが色んなお店へ勧誘してる。




恐い。





本当に、こんなところにいるのかな?




そのとき、











「おねーさん?」






ビクッ





「おねぇーさんっ!」





「は、はい。」





蚊の鳴くような声で返した。







「こんなところでなにしてんのー?」






酔っ払った若い男のひとが五人くらいいて、わたしを囲んでいた。






「あのー、すみません。急いでるので。」





「まーまー、そんなこと言わずにさー!」





がっつり手をつかまれた。





「嫌だっていってるでしょっ?」





バンッ




持っていた鞄で男のひとを殴り付けた。





「いってーな!」


「来い!ごらっ!」





さっきよりも強い力で腕を引っ張られて、奥に入った道へと連れていかれる、




「いやっ!いやぁっ!やだ!やめって!」





必死に抵抗しても、男の人に力でかなうわけもなく、あっさりと連れて来られた。








「おいてめー、おとなしくしてねーと痛い目にあうぞ。」






そう言って、たくさんいる男の人のなかの一人が私を壁に押さえつけ、手を固定した。





もう逃げられない。





「ごめんなさい、はなして!」





私は謝ることしかできない。





そのうち、もう一人の男の人がビデオらしきものを出し、まわしはじめた。





こわい。こわい。






「たす、け て 」





こわくて、かすれた声しか出なかった。





上着をぬがされ、キャミソールに手をかけられたとき、最後だとおもい、一気に息を吸って、





「たすけてぇぇぇぇっ!」





と叫んだ。









しかし、入り組んだ道の奥。



そう簡単に助けはこない。





「おい!うっせーよ!」




そう言われ、顔を殴られた。




「おい、こいつの口にテープでもはっとけ。」




そういって、口にガムテープをはられた。





下着もとられ、上半身は裸になって胸をさわられていた。



気持ち悪い。




もう、終わりだ。



初めてなのに、こんなことで終わってしまうなんて。




もう、やだ。




助けて、助けて!





そして、ついにスカートに手をかけられた瞬間