「俺が誰だか知ってんだろ」



「はい?」


「ここに来てたってことは、俺のこと知ってんだろ」


……この人は、自意識過剰かなにかなのだろうか。


「あの、どーゆう事ですか?」


「は?」


「なんで私があなたのこと知ってなきゃだめなんですか?」


「お前、俺のこと知らねーの?」


目の前の男は、目を真ん丸にして驚いた様に言った。


「はい。」



「ま、じ?」


「はい。てゆうか、なんで私があなたのこと知ってなきゃだめなんですか?世の中の人が皆あなたのこと知ってるとでも?」



「いや……」


「自意識過剰なんじゃないですか?」



「……お前だれだ?」



「東條陽菜。」


「陽菜か。お前、面白いな。」


こんなことを言うやつに面白いなどと言うなんて、ドMなのだろうか。


「…あなたは?」