ドンッ
後ろを振り返って進もうとしたところ、誰かとぶつかった。
「あっ、ごめんなさ………」
そこには、長身で赤い髪と赤い目の男がたっていた。
顔は、驚くほど美形で、切れ目の瞳に妙に吸い込まれて、動けずにいた。
「緒形さん、申し訳ありません。彼女、まだこの世界について知らないんです。」
夏が急に丁寧な言葉を使い初めて、この人は何か凄い人なのだと思った。
「………」
しかし、なにも答える気配はない。
「あのー、すみませんでした。」
「………」
それでも何も言わないその人に少し頭にきた私は、
「ねぇ、聞いてるの?」
少し強めな口調で言ってしまった。
「その事に少し目を見開いた彼は、あぁ、とだけいって、立ち去ろうとした。」
「あの、確かにぶつかったのは悪いですけど、こっちは謝ってるんですから、もう少し返し方あるんじゃないですか?」
少しカチンと来ていた私は、怒った口調で言ってしまった。