「あの…暁くん…さっきの話…」
おじさま、おばさまと別れたあと、私はおずおずと口にした。
私の手はしっかりと暁くんの手に繋がれている。

「嫌だった?」
「ううん!そんなことない!」

「まだ早いから言わないでおこうと思ったのに、それをあの人たちは…」
私が大学を卒業してから言うつもりだったのだと悔しそうに言った。
「あの…私でいいの?暁くんなら周りに素敵な人たくさんいるでしょう?」
結婚は人生を左右することだ。両親を見ているからよくわかる。
それをこんな簡単に決めていいの?

私なんて8つも年下で暁くんから見たら子供なのに…。
私の言葉にむっとしたようで、繋いだ手に力が入れられた。
「何それ?それって俺がロリコンて言いたいわけ?」
「そんなこと言ってないよ。でも…」
「俺は百合じゃなきゃ嫌だ。あの時会ってからずっと好きだったんだから」
まあ、ロリコンて言われても仕方ないかもしれないけど…なんてぶつぶつ言っている
暁くんが可愛く思えた。

「本当に私をもらってくれるの?」
「百合がその気になってくれるなら大歓迎」
「本当に本当?」
「心配しなくても約束する」

「百合、俺と結婚してくれる?」
「はい、喜んで」
月明かりの下、私たちは初めてのキスをした。

願いが叶った。それだけで十分幸せなのに約束ももらった。
もう、何もいらない。
私を導いてくれるたった一人のあなたさえそばにいれば――――