調停局までの道のりをあかねと言葉を交わしながら、瀬々は歩いていた。
「へぇ。ようするに今月でクビなんだ」
「いやいや、まだ決まってないッスからね?」
「ふーん。まぁ瀬々なら、どんなことがあっても大丈夫な気がするけどね」
「あかねっち……」
さり気ない軽い言葉だが、不思議と心が落ち着く。
「どうしようもないワカホリだしね」
「ワカホリは余計ッス。ところであかねっちは、どうして調停局に?」
「これといって用はないんだけど、しろ……佐倉さんに呼ばれて」
「佐倉って確か、調停部の副部長でしたっけ」
「うん」
異能社会にはチームというものがある。
今から数十年前に、争いの絶えなかった異能者を統率するために結成された組織が、時の流れと共に分裂したのが発端とされる。
現在はチームを管轄する協会の管理下に置かれていて、一般社会に馴染めない異能者を保護する組織として広く知られている。
またチームには定期的に交流戦などが開催される。
その結果によりチームのランク付けがなされ、それが所属する異能者の異能社会においての格付けに反映するというシビアな部分もある。
チームによって特色は様々だが、共通したものがある。
それは一つのチームに頂点、すなわちリーダーを置くことである。
リーダーは簡潔に言えば、組織内で最も権力を有する人物を指し、近年のチームにおいては最も強い異能を持つ者が選ばれる。
実力だけがものを言う異能社会ゆえの仕様とも言えるが、一方で頂点であるリーダーをチームの象徴として捉えられることもあり、異能の強さだけではなく人格、品格、教養などあらゆる面において、秀でている人物を望むチームもある。
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