「っね」

「ちょっと、敦子」

 金子さんが西谷さんに声をかけ、俺に指差す。

「…」

 西谷さんは俺の顔をチラリ見して、うつむき加減でため息付いた。

 富沢さんは西谷さんの肩を軽くポンポンと叩き促す。

「田代君がね、敦子と話しがしたいんだって。ちょっと相手してあげて」

「…」

 富沢さんに言われても、西谷さんは無視を決め込んでいる。

 倉田さんがちょっと冗談気分でこう言葉を並べた。

「元カレが敦子と2人だけの時間を過ごしたいってよ。久しぶりにラブラブもイイんじゃなーい?」

 オイオイ!

 それはちょっと、マズいんじゃねー!?

 バシーッ!

 ほーら見ろ!

 やっぱり叩かれたか!

 西谷さんはカッとなり、倉田さんの頬をバシーッとビンタしたのだ。