「高校時代に憧れていた女の子の事を今でも忘れていないなんて、ステキだよね」

「未練がましいかな?」

「未練がましい? そんな事なーい。ずっと思い続けるのも悪くないと思うよ」

「西谷さんはもう、結婚しているんじゃねーの? アイツって結構、モテモテだったしよ」

 俺の問いに富沢さんは西谷さんの今の状況を教えてくれた。

「敦子にはまだ、彼氏さえもいないから。ゲットするなら今がチャンスだよ」

 だったら、今だ!

 もう一度、チャンスを!

 気持ちが奮い立ち始める俺だが、ある不安が込み上げて来た。

「でも大丈夫かな?」

「何が?」

「西谷さんって、俺の事を相当嫌っていたからよ。明日俺が顔を見せたら嫌な顔されるんじゃねーかな?」

「考え過ぎだよ田代君」

「考え過ぎってか?」