『残念、餓鬼は後回しにするか』
『そうだな』
怪しげなそいつらは顔を見合わせ。
そして、
『まずは、』
『お前らからだ』
そう、口々に吐き出された時にはもう、千歳の両親の心の臓に穴が開いていた。
『………え?』
何が起こったか把握も出来ずに、間抜けにそう呟いた千歳。
目を見開き、口を開け、細かく震えだす両親。血が一気に吹き出たりなどはなく、ただぽかんと穴が開いているのだ。
だが、次の瞬間。
ばたり、と音を立てて畳に転がった二人から夥しい量の血液がドクリ…ドクリ…吹き出すことはないものの波打つように畳を染めていく。
「ッああ……ぅ……ぁアア!」
悲鳴を上げることも叶わないのか、本物の恐怖とはこういうものか、目の前に転がるのは誰だ、人か?肉塊か?いいや、父と母だ。
紛うことなく、千歳と血肉を分けた両親である。