ちらり、私を瞳だけで振り返った紅というその人が続ける。
「お前の大事な子なんだろう?」
それに、鬼灯はこちらに瞳を向けて――――千歳は驚愕する。
黒かった瞳が、まるで他の二人のように血のそれに染まっていたから。
『鬼灯様……、』
我が子に手をかけた男を言えど、信じ切れていない自分がそう名を呼んでしまう。
切なそうな視線を、後の侵入者二人が向けてきたのにも気づかない。
鬼灯はその響きにゆっくり微笑むと、
『暇潰し、ご苦労様』
『っ……』
『お前もまきも―――…用済みだ』
――生涯を共にするならば、千歳が良い
――うまく言えないけれど、
――千歳の隣にいたいと言ったら、怒る?