板の打ち付けられた窓が酷い音と共に破られ、二つの塊が飛び込んでくる。
砕け散った破片に目がやられぬよう、顔を背けた千歳が顔を上げた時。
鬼灯たち三人と対峙するように、二人の人物が千歳たちを庇うが如く目の前に立っていた。
二人の顔は見えぬ代わりに、夾竹桃三人の表情が覗えた。
それぞれに苦々しく顔を歪め、そして鬼灯の口が開く。
『きたか――”紅”め』
クレナイ、と呼んだか?何者か分からぬ突然の乱入者二人は、スと腰を落とす。
そして囁くような小声で、低く唸った。
「気安く呼ぶな鬼灯」
そう言い終わる前に、もうその身体は動き出していた。
腰に下げられていた刀を手慣れた様子で抜き、最小限の振りで鬼灯へと向ける。それを少し余裕の失った笑みで避け、後ろに飛び退いた。
『ったく、容赦ねえな』
返事の代わりに連続してその刀から繰り出される鋭い攻撃に鬼灯はいよいよ笑みを失い、舌打ち。
もう一人もその間に女のほうへと刀を向けていて、狭い部屋はいきなり戦場へと変わってしまった。
『君影ぇ!ほらどうした?動きが鈍いよ』
『下衆が』
こちらも低く唸るように吐き捨てると、ちらり、千歳へと視線を向ける。