なんて。それに、酷く整った顔に艶やかな笑みを浮かべた鬼灯は、ふんと鼻を鳴らす。



『男前が上がっただろ?』


そう言い、前髪を払った。そして壁際でまきを抱きしめながら泣き崩れる千歳を振り返ると、至極つまらなそうに冷淡な声音を紡ぐ。




『おい千歳、泣くんじゃねえよ』

『……』

『安心しろ、お前は俺が殺してやるから』


顔を上げた千歳の顔は怒りに顔を歪んでおり、それを見た瞬間つまらなそうだった顔は一気に爛々と輝く。




『お前のそういうところ、気に入ってんだ』

『ッ……、まきを…よくも!』

『まだ死んでねえよ、まきは。まあ殺すけどな、用済みだし』



なんて男だ下衆め、そう吐き出してしまいたくなる千歳。

でもどこかでまだ恐怖が消えないのか声が詰まるのが悔しい。
ゆらり、鬼灯がこちらに近づき、綺麗な顔に狂乱広げる。



右手をこちらに向けると、蠱惑的な笑みで魅了する。

狂気の満ちた部屋に、鬼灯の囁きが響く。



『――優しく、愛しながら殺してやるよ』

『ッ』




まきを抱きしめた――――その時だった。