まだ合っている目に私は思わずベランダに飛び出した
俊は背を向けて歩き出した

俊を応援したかった
道を迷わせたくなかった
こんなあたし傍にいてはいけないと思っていた
でも、やっぱりダメだった

頭ではわかっていても俊を求めていた

あたしは冷たい手摺に手を掛け身を乗り出し大好きな人の名前を呼ぼうとした
「……しゅ……」
そのときポタリと手の甲に涙が落ちた

……ああ、呼べないや…
今、俊の名前を呼んでしまったらあたしはまた繰り返すんだ…
この涙でまよわせてしまう