津村は黙って夜景を眺めていた。時折漏れる私の鳴咽だけが、暗闇に散らばる光に紛れていった。 私が落ち着いたのに気付いて、津村がこちらを見た。 理由を聞かれるのかな。 どうしよう。 自分でもよく分からないのに。 そんな私の思いは単なる杞憂に終わった。 「ラーメン食いてえ!」 「……は?」 思いがけない津村の言葉に拍子抜けして、間抜けな声が出てしまった。 「俺メシ食ってねぇの!行くぞ!」 私はまた強引に車に連れ戻され、津村は車を走らせた。