輪ゴムは風に煽られ、ひゅるひゅると逃げていく。 向かい合う2席の脇で、 お誕生日席に突っ伏したスーツの男へ 落ちていく。 少々、寂しく翳(かげ)った頭頂部ギリギリの、 机上をかすめて消えた。 寝息を立てていた、中年男性が顔を上げる。 菅谷 遥が言う。 「リーダー、カラオケ行ってきていいすか」「ダメ」 即答だった。 とっくに興味を失っていたツナ子は、再びタイツの肉を寄せては放す。