よそ見をしているツナ子をよけて 風を切り、机を弾くものがあった。 ヨレた茶色い輪ゴムは弧を描き、 2倍の遅さでマット敷きの床へ落ちた。 「ひまか?」 前の席の菅谷 遥(すがたにはるか)がニヤついている。 ツナ子は無言で輪ゴムを拾い上げ、 ゴム鉄砲を撃つ。 会社は、えんぴつ臭い。 ボールペンしか使っていないのに。