それから、家の中にはピンクの斑点が模様のように増殖していった。

さほど大きなものではないし。

初めはツナ子も、ひとつかふたつなら、
品質保証のマークくらいに思えば…と諦めていた。
しかしそれは消えない痣のように、何枚も何枚も、日を追うごとに増えていく。

どこから、どうやって知ったのかはわからないが、
テープの効力は、夫の信心深さにだけはだいぶ力を発揮したらしい。


「いい加減にして、
そんな顔で学校に行かないで」


夫が、額や頬にまで貼りはじめたテープにツナ子が手を伸ばすと、
引き剥がされたのはツナ子の体の方だった。

テープのピンクにより一見、滑稽な顔つきをした夫は、
凄い目をして無言で自室に戻り、その日から出勤する事を辞めた。