愛依side
「ん……?」
目を覚ますと、知らないところで……ベッドに寝かされていた。
わたし……知らない人にキスされたんだ………
夢じゃないのかと期待したけど、唇に感触が、残っている。
「ふっ……っ………」
目からは、止めどなく涙が落ちてくる。
助けてくれようとした篤斗くんは………無事なの……?
不安で、心配で………そして、今、自分が置かれている状況が怖くて………涙が留まらない。
手足は、紐で縛られ動かすことも出来ない。
どう……したら、いいの………?
「っ……ふっ……」
「おいおい……そんなに泣くなよ」
わたしが横になっている後ろから、声がした。
この声は………
首だけ後ろに向けると、やっぱり……さっきの男だった。
閻魔の……祥……という男。
「怯えるなって。傷つくだろ?」
そう言ってベッドに近付いてきた。