「新学期から公立通えるようにする手続きは親父がするから。
ひかるは夏休み中に俺んち来れるように荷物準備しとけよ。」
「…うん、わかった。これからよろしくね。」
タケ兄に頭を撫でられる。
大きなゴツゴツした手が光輝を想わせてちょっとつらい…。
「…なにがあったか知らねーけど、ためこむなよ。」
「タケ兄…。」
アキ姉もあたしをみて微笑んでくれた。
大丈夫。
みんなと離れても、あたしにはこんなに優しい兄姉がいるもん…。
その夜、いくら寝ようとしても光輝の部屋を見つめてしまった。
レースのカーテン越しに見える部屋の明かり。
寝ないのかな?
何してるのかな?
あたしのこと考えてくれてる?
泣いてるなら、その涙を拭いたいけど…
もう、あたし達の道は分かれてしまった。
それを選んだのはあたし。
距離を置くだけ
そう嘘をついたのはあたしの弱さ。