「俺はホントに、八田とは何も無かったから。ひかるに言わなくてごめん。言い忘れてただけだから…。」
「………。」
「ひかるは…?何かあった?」
あったといえば、色々あった。
「…光輝が電話に出てくれなかった時は、巧がずっと一緒にいてくれたもん。」
「…は?巧?…一緒にってどーいうことだよ…」
ぷぷっ
可愛い!明らかにイライラしてる。
さっきの言葉でとっくに許してるけど、光輝の反応が面白いからもう少しやっちゃおう。
電話に出なかったのと、あたしに言わなかった罰だもん。
「…付き合うことに、なったから。」
あたしじゃ無いけどね♪
あたしが内心面白がってることなんて何にも気がついてない光輝は、あたしの言葉を聞いて一瞬で固まった。
しばらく沈黙が続いた後。
「……それ本気で言ってる?」
「うん。」
あえての平然とした声。
ホントだよ、莉々と土屋くんはね。
「俺と…別れるってこと?」
「…………。」
さ、さすがに返事は出来ない。
あれ、これ…
光輝があっさり受け入れちゃって、ホントに別れることになったらどうしよう⁈
でもそんな心配、する必要がなかった。
「…無理、別れて。俺ひかるを手放す気なんてないし。ひかるは俺のものだから。」
えっ…
思いがけずめちゃくちゃ甘い台詞。
反則だって…。
「……どんなにひかるがそいつのこと好きでも、俺の方向かせるから。」
離れた身体。
綺麗な指があたしの頬を這う。
意思の強い光輝の目がすこし揺れてる。
そんな光輝に
勢いよく
唇を重ねてみた。
2秒程で離れると、案の定目を見開く光輝。
「…嘘だよ。付き合うのは莉々と土屋くん。巧はただの友達!」
あたしからの、初めてのキス。