震える手でSuicaをタッチして、改札を通り抜けると案の定八田さんはあたしの方に近づいてきた。




読み取れない、綺麗な笑顔。





怖い、怖いよ…。





「こんにちは、ひかるちゃん。」




「………八田さん。」




なんでここに?


なんて聞けなかった。




綺麗なストレートのロングをなびかせる姿に周りの人は思わず目をとられる。





「ごめんなさいね、急に来ちゃって…。あ、光輝ならまだ大学よ。その前に話があって。」





丁寧に塗られたグロスが光る。








あぁ…






私は、この人に勝てない気がする。





こんな大人な人には…






追いつけない。