「ひかるは悪くねーよ。」
そんな一言に胸がジンとする。
「お前は優しすぎるんだよ。」
「そんな事ない…莉々にメール見せたのはあたしだもん。土屋くん…見つけたかな?2人には、幸せになって貰いたい…。」
泣いたから、鼻がグズグズ言う。
幸いポケットにティッシュをいれていたから助かった。
莉々、二年生になったばかりの頃からずっと好きだったんだもん。
そりゃあ、最低とか遊んでるとか言われて多少なりとも傷ついたけど…気が動転してただけ。
莉々の方が傷ついた。
だから余計に結ばれて欲しい。
どれくらい、沈黙が続いてたんだろう。
暗くて巧の表情はよく見えなかったけどその静けさは嫌じゃなかった。
「…戻ろっか?もう9時になっちゃう。もんなも心配してるだろうし。」
沈黙を破ったのはあたし。
もう大丈夫だということを伝えて立った。
「…ありがと、巧。この旅行で巧と仲良く慣れてよかった。」
ちょっと掴めないやつだと思ってたけど…不器用で優しい純情ボーイ。
新しい一面が見れて良かった。
「…いや、俺のお節介だし。次は彼氏に受け止めてもらえよ。」
うわっ…一気に、現実に引き戻された。
光輝、電話出ないのなんて珍しいし…
また連絡とれたら聞こう。
…さて、
莉々の惚気聞くために帰ろう。
頭をかきながら歩く巧にコッソリと微笑んだ。