旅館に帰って明日帰るために荷物を整理しながら、さっきのことを思い返す。
この修学旅行で、あたしと巧の距離って、確実に近くなってる。
…いいのかな、下の名前で呼び合うなんて…。
「はぁ……」
ダメだ、こんなこと考えてたら、また八田さんが出てきた。
でもいいよね…別に。八田さんに光輝って呼ばれてたし!
あたしだって、いいよね…。
「どうしたの?ため息なんてついて。」
横で整理してた莉々がキョトンと覗きこんできた。
「そーいえばさっき、浅丘といい雰囲気だったじゃん。」
あはは…やっぱりそう見えたか。
「別にそんなんじゃないよ…。あたしは光輝一筋だし。」
「そう…あ、ひかる。メール来てるよ。」
「ごめん、ちょっと開いてくれるー?今アレで…多分光輝か祐希だから。」
そう。ここで莉々に任せなければ…
後で後悔したって遅いけど。
「…は…?
好きだ、付き合って下さい…?
…どういうこと?」