「いってきますッ」 自転車の鍵を開け、重たいペダルを漕ぐ。 生暖かい風が、長くて鬱陶しい髪をなびかせる。 通学路の途中、普段見た事のないくらい大勢の人を見た。 自転車を止めて人込みの中を見てみると、家の前にパトカーが止まっていて。 …私はその時、恐怖というか不安というか……とにかく、変な予感がした。 だって、パトカーが止まっていた家は、クラスメイトの浜野翔太くんの家だったから――