それからしばらくして、池上が戻ってきて。


みんなは重い空気のまま席へと戻っていく。








池上の話だと。


浜野翔太くんは、屋上から飛び降りたらしい。


遺書はどこにもないらしいけど、状況から見て自殺じゃないかって…。















「翔太は自殺なんてしねーよ!!」











机を思い切り叩いたのは、赤木くんだった。



涙を堪えているのか、ギュッと噛んだ唇がフルフルと震えている。














「…俺も、自殺なんて信じられないよ」












池上は生徒から視線を外し、どこか遠くを見るような目で誰も座っていない席を見つめる。









私たち2-Bの生徒は全員、警察から事情を聞かれた。


浜野くんが自殺する理由だったり、最近変わった様子はないかとか。




私はただ淡々と、聞かれた事に答えていく。

ただ不思議だったのが、赤い血で書かれた文字について警察は、誰も私たちに何も聞かなかった事だった。