開いた窓から、ビューと風が吹いて、閉めてたカーテンがハラリと揺れる。
その風が吹いた瞬間、教室にいた人がみんな、窓の方を見た気がした。
「ほらー。お前ら、席に着けー」
担任の池上(イケガミ)の声が、張り詰めた空気に響き渡る。
みんな、携帯片手に止まっていた身体を動き始める。
私も、”制裁”の言葉を気にしながらも、席に着く。
「えー、知ってる奴もいると思うが。
昨日から浜野が家に帰っていないらしいんだが―――」
池上の声を遮るように、聞こえてきた声。
「うおぉぉ」なのか「うわぁぁ」なのか、はっきりしない叫び声と。
何かが潰れたような、割れたような、音が。