次の日、
結衣に結婚の事実と一つの決意を話した。

「はぁ〜。いいんじゃない?
好きにしなよ〜。応援だけはしとく。」

そう言って彼女は溜息をした。



その日の帰り道、
久しぶりにシュウに会った。


「久しぶり。」

無視するのもいけない気がして
声をかけた。

「久しぶり。」

前と変わらない笑顔にほっとする。


帰る方向が一緒なので、
必然と一緒に帰ることになった。


普段通りに話しているつもりでも
時々、沈黙が生じた。



シュウの家の前に着いた。


「上がってく?」

驚いて固まる私。


「ぷっ。冗談だよ。ジョーダン。」


目の前で笑うシュウは
「また大人になった」と少し私を寂しくさせた。


「またな。」

手を上げるシュウ。


「うん。またね。」

家に向かって歩き出した私。


少し歩いたところで


「葵ー!!」


後ろからシュウの声がした。

振り返ると

「俺、まだ諦めてないから!!
だけど、葵も頑張れよ!」

そう叫んでイタズラした少年のように笑うと、家に入ってしまった。

周りの家に聞かれたんじゃないかと
恥ずかしくもあったが、
心がすごく温かくなった。

自分に少し自信が持てた。