高橋は、私がびくっとしたことに気づいたのか、私の体には触れずに、手をおろした。





「ごめん、なんでもない。……帰ろ?」




私の目を見ずに、そう言った。




「うん。帰ろっか…。」








それから、高橋は私を家まで送ってくれた。


家に着くまでの間、私たちは全く話さなかった。





っていうか、話せなかった。






意識しちゃって。







家の前で、私は「バイバイ。」と言って、手を振った。




高橋は「じゃーな。」と言って手を上げた。






高橋の背中が見えなくなるまで、私は外にいた。


その背中が見えなくなっても、ドキドキが消えなかった。