昇降口に着くと、北野君は私の腕を離して、


「垣田さんの家ってどこ?」


と尋ねた。


「えっと…、ここから20分くらいかな。」

「そう、じゃあ近いな。よかったら送ろっか?」

「いやいや、大丈夫!一人で帰れるよ。」



私は言いながら、手をぶんぶん振った。
振ってから、またしちゃった、と思って、パッと気をつけの体勢になった。



「ほんとに平気?気を付けて帰れよ?」

「わかってるよ。北野君も気をつけて帰ってね。」

「はいはい。じゃあな。」


北野君は顔だけこっちをむいて、片手を上げた。


「バイバイ☆」


私も真似して片手を上げた。